きのこの識別方法
2018/01/27
登山に行くと必ずきのこを見かけます。
日本には約4000〜5000種類ものきのこが存在していると言われています。
その中には可愛らしい形のものあれば、毒を持ったきのこもあります。
きのこの種類を知れば、登山の楽しみがさらに増えますよ。
きのこの識別は初心者ですが、登山で見かけたきのこをご紹介できればと思います。
まずは識別の手順をご紹介します。
発生場所と環境を確認
発生場所できのこの性質がわかります。
・樹木の根際に発生 根株腐朽菌(ねかぶふきゅうきん)…地中の枯れた根を分解して土に還す働きをします。マイタケなどが代表的。
・枯れ木に発生 腐朽菌(ふきゅうきん)…木材を分解する働きがあります。
・林内地上に発生 腐生菌(ふせいきん)…落ち葉や、動物の遺体など、土中の有機物を分解します。
菌根菌(きんこんきん)…樹木と共存します。猛毒のベニテングダケも菌根菌です。
また、森林を構成する樹種を観察しましょう。多くのきのこが、それぞれ特定の樹木と密接な関係にあります。
例えば、松茸が松林に発生するのは、よく知られています。
発生している樹種は必ずチェックしましょう。
しかし、単一の樹種だけで構成された森林は少ないので、きのこの近くにどんな樹木があったのか観察することも大切です。
発生状況を確認
視野を広くし、きのこの発生状況を確認しましょう。
たくさん集まっていたり(群生)、ぼつんと孤独に生えていたり(単生)と発生状況は重要な識別の参考になります。
特にリング状に群生していることを菌輪といいます。
大まかな形や色、質感を観察
まずは、きのこ全体の形、質感、量感、色といった大まかな特徴を把握しましょう。
視覚だけでなく、手触りや、重さ、においなどは、キノコを見極める上で重要なポイントになります。
識別の制度を上げるため、複数の個体を観察
キノコは形や色の個体差が大きく、また、成熟の度合い、発生時の環境、天候によって形態が大きく変化するきのこがあります。
なるべく、同一の場所で多くの個体を観察しましょう。
・成長すると見かけが変わるきのこ
ムラサキシメジ…成熟するにつれ色が大きく変化します。
・雨や発生環境で見かけが変化するきのこ
シロオニタケ…イボが雨により流失します。
雨だけでなく、湿っている時と乾燥時で、色や粘性などが変化するキノコもあります。
固有の特徴を観察
・カサの観察
①上と横から見た形と色を確認しましょう。
②模様、条線の有無、表面の質感、粘性などを観察。これらは、識別の重要な手掛かりになります。
③カサを裏返し、観察してみましょう。カサの裏側のヒダなどは、きのこの最も大切な胞子ができる部分です。それら密度や大きさ、色と形状を確認しましょう。
・柄の観察
柄もカサと同様に、形、表面の様子、質感、特にツバやツボの有無と形状は重要な識別ポイントです。
切断面や肉の観察
きのこを縦に切断し、中空か中実といった柄の内部構造や、肉の色、質感などが識別の参考になります。
変色性など個別の特徴の観察
きのこには、外見だけではわからない様々な特徴があります。
傷口から出る乳液の有無、傷や手で触れた部分の変色性、特有の臭いなどは、きのこの種類や属につながる重要な特徴となります。
名前のわからないきのこを見つけたら、臭いを確かめ、ヒダや表皮に傷を付けて経過を観察してみましょう。
また、切断面や傷口がだんだんと、青変色、赤変色、黒変色に変化するきのこもあります。
きのこの識別は、難しいですが、あせらず丁寧に行いましょう。
きのこウォッチングや、きのこ狩りを、登山の際は、ぜひ楽しんでください。
ただし、識別方法に慣れてない場合、きのこ狩りは専門家や経験者の方と一緒に行いましょう。